福岡市東区名島にある天台宗の寺院・宗栄寺は御本尊が薬師瑠璃光如来・別本尊として弁財天が安置祀られている寺院で、徳川三代将軍の時代に天草で農民一揆が起こった際に、黒田藩黒田忠之を将として一万石を領していた岡田半左衛門利良とその子佐右衛門が敵の銃丸により戦死し、利良の妻が父子の遺品を名島の古塁の麓に納めて精舎を建て、比叡山で修行していた心性坊俊道を招き開基としたのが始まりとされています。
現在の場所には弁財天社の神宮寺の末社があったのですが、明治初年の神仏分離令により弁財天社は名島神社となり、祀られていた弁財天は転々としたのですが名島地区民の強い要請と運動により明治7年1月名島へ還御し宗栄寺が別当寺となり現在に至り、祀られている弁財天は平安時代の慈覚大師円仁が、唐より帰朝の折弁財天に祈願して無事帰国できたことを感謝して勧請したものと伝えられています。境内には弁財天の使いとされている信者から奉納された沢山の蛇の像があります。
境内は鳥居の先に寺があるという神仏習合の雰囲気があるもので、60日に1度来る己巳の日は弁財天の御縁日であり、宗栄寺では護摩焚き等のお祀りが行われて沢山の参拝客で賑わいます。
御本尊:薬師瑠璃光如来
別本尊:弁財天 |